埼玉で発見された謎の標識、ブッ飛んだ4文字に目を疑う 「それアリなの?」と戸惑いの声も…

「キラリ☆ふじみ」と書かれた標識が話題に。命名当初は戸惑っていた施設代表者も「今では誇りを持っている」と語る。

2024/06/13 05:45

■運営する「法人名」に違和感が…

2002年11月に開館したキラリ☆ふじみ命名の経緯について、同館館長・矢野哲史氏は、「開館前年の2001年に施設の愛称募集を行い、その際に市民で構成される開館記念事業実行委員、行政関係者、設計業者が加わる選考委員会が設けられ、約300点の応募の中から決定しました」と、振り返る。

矢野氏は「この愛称には『キラリ☆と輝きあう一瞬のために富士見市の新しいシンボルとして、キラリ☆と個性が輝くように、キラリ☆と富士見ブランド文化が全国に輝くように、キラリ☆と水と緑と光の調和で輝くように』との願いが込められています」とも補足しており、一生分の「キラリ☆」を耳にした思いだ。

キラリ☆ふじみ

「多様性」が唱えられるようになった令和の価値観から見てもかなり攻めた名称は、やはり当時も賛否両論を巻き起こしたそう。

矢野氏も「当初の反応としては、行政の施設等に『キラリ』、ましてや『☆』が加わるのですから、市民または行政の反応もポジティブな意見やネガティブな意見と様々で、温度差があったように聞いています」と認めている。

…と、ここで記者はある重大な違和感に気づいたのだ。

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■館長も「だいぶ攻めるな」と驚き

違和感の正体は、ズバリ「キラリ財団」という法人名。「キラリ☆ふじみ」という愛称が公募で決定され、且つ賛否両論を呼んだというのであれば、こちらの法人名はいつ頃生まれたものなのだろうか。

この疑問に対し、矢野氏は「当財団の前身は財団法人『富士見市施設管理公社」と言い、いわゆる地方公共団体の第三セクターです。1984年(昭和59年)より徐々に、市民総合体育館、市内の自転車駐車場、市民プール等の公共施設の管理運営が始まりました」と、その歴史を振り返る。

時は流れ、キラリ☆ふじみ開館の2002年には「管理運営を誰に任せるのか」という点が市で議論され、最終的に同社が管理運営を担うように。以来、現在まで指定管理者(第4期目)として館の運営を任されているのだ。

そして2013年、公益財団法人への移行の際に前出の社名から、現行の「キラリ財団」へと改めることに。

キラリ☆ふじみ

改名の経緯について、矢野氏は「移行手続きに伴って実施した公社理事会・評議員会の中で、法人名称について様々な案を出し、議論されて決まったものですが、ありがちな少々長めの法人名案が挙がる会議の中で『もっと分かり易く、短く、キラリ財団でどうか』というひと言が決め手になったと、微かな記憶があります」と語る。

開館当初は名称が疑問視された「キラリ☆ふじみ」だが、当時は既に約10年に渡って運営された実績があるほか、同館の運営が主軸となっていた状況にも後押しされてか、同社は「キラリ財団」として再スタートを切ることに。

当時の心境について、矢野氏は「『だいぶ攻めるな。仕事の際、相手に対して少々声に出しづらい感じになってしまったな』と、少々ネガティブな思いがありました」と、ぶっちゃける。

続けて、「しかし今ではこの名称も馴染み、誇りさえ持てるようになっています」と、微笑ましい心境の変化を笑顔で語ってくれた。

今回、多くの人が「キラリ☆ふじみ」に注目した件については「そもそも文化施設と分かりづらい外観ですから、話題となった交差点標識を目にした方でも『その先には何か、得体の知れない建物があるな』という印象を抱くか、あるいはその存在にも気づかれないものと思っています」と、やや自虐気味な分析が。

キラリ☆ふじみ

その上で、「しかしその内側では、開放的な空間や多様なジャンルの催しで皆さんをお待ちしていますので、ぜひ一目覗いてみて頂きたいと思います」とのコメントを寄せてくれたのだ。

日頃から様々な利用がある「キラリ☆ふじみ」では、開館当初から芸術監督を置いているほか、多様なアーティストが滞在し、館オリジナルの作品を創作する活動も盛んに行っている。

主催事業の「サーカス・バザール」(7月開催)や「ふじみ大地の収穫祭」(11月開催)といった交流事業では、館中央にある「カスケード」等の開放的な空間を使ったイベントも行い、出会いや交流の場として機能しているという。

一度訪れれば、名前に対する違和感がなくなるどころか「この名前しかあり得ない!」と感じられることだろう。


【施設詳細】

キラリ☆ふじみ

「富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ」

埼玉県富士見市大字鶴馬1803番地1

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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