胎盤と血管からマイクロプラスチックが発見 健康への潜在的な影響とは

アメリカの調査で、参加した全員の胎盤と血管からマイクロプラスチックが見つかった。研究者らは、胎児などの健康への悪影響を懸念している。

2024/03/04 07:30

プラスチック
(shironosov/iStock/Getty Images Plus/画像はイメージです)

アメリカ・ニューメキシコ大学の研究チームが、調査対象者全員の胎盤と血管から「マイクロプラスチック」が発見されたと報告した。

研究家らは、胎児などへの潜在的な影響について懸念を抱いている。『The Guardian』がレポートした。


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■健康への懸念

ニューメキシコ大学の研究チームが、62人のプラセンタ組織を分析した結果、全員の胎盤にマイクロプラスチックが見つかったと報告した。研究者たちは、発達中の胎児への潜在的な健康被害に懸念を抱いている。

最も大量に検出されたプラスチックは、プラスチックバッグやボトルの原料に使用されているポリエチレンだった。別の調査では、17人の成人の動脈すべてでマイクロプラスチックが見つかり、これらの粒子が血管の詰まりと関連しているかもしれないと示唆した。

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■マイクロプラスチックの拡散

最近、マイクロプラスチックは人間の血液や母乳中にも混入していることが確認されている。これによる健康への影響はまだ不明だが、実験ではマイクロプラスチックが人間の細胞になんらかの損傷を与えることがわかっているという。

研究者らは、大量のプラスチック廃棄物が投棄され、マイクロプラスチックは今やエベレストの頂上から最深部の海洋まで、地球全体を汚染していると指摘する。

またマイクロプラスチックは食品や水を吸収することで体内に入り、呼吸によっても微小な粒子を摂取してしまう。そのため、大人だけでなく幼児の便からも見つかっているという。

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■プラスチック汚染は深刻な問題

研究を率いたアメリカ・ニューメキシコ大学のマシュー・キャンペン教授は、「もし胎盤に影響が出ているなら、この惑星上のすべての哺乳動物の生活に影響がある可能性があります。それは良いことではありません」と述べた。

また、人間の組織中のマイクロプラスチックの増加濃度が、IBD(炎症性腸疾患)、50歳未満の人々の大腸がん、および精子数の減少などの健康問題の不可解な増加に関与している可能性があるとも示唆している。

2021年の研究では、IBDの人々の便中のマイクロプラスチックが、健康体の人より50%多かったとの報告がある。

マイクロプラスチックが胎盤から初めて検出されたのは、2020年のイタリア。正常な妊娠・出産をした健康な女性4人のサンプルだったという。キャンペン教授は、「胎児の体内の臓器は、胎盤以上に蓄積が濃いと予想される」と危惧している。

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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子

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