【ワンフェス】日本一有名な“成金野郎”が登場し話題に お札に火つけ「どうだ明るくなったろう」

約100年前の風刺画を再現したフィギュアが話題を呼んでいる。その作者に熱き思いを聞いた。

ワンダーフェスティバル

11日、千葉・幕張メッセでフィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル2024冬」(以下ワンフェス)が開催。新作フィギュアや模型が会場中に並ぶ中、あの“成金おじさん”の作品に注目が集まり…。


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■世界中からファン集まるフィギュアの祭典

夏冬の年2回開催されている大手模型メーカー・海洋堂主催のワンフェス。前回の2023夏大会が約3万4,000人、前々回の2023冬大会が約3万5,000人と、ガレージキット、フィギュアファンなら誰もが知る国内最大級のイベントである。

この日も開場と共に多くの来場者が館内を訪れ、フィギュアメーカーの集まる企業ディーラーブース、各地の敏腕クリエイターが出展する個人ディーラーブース、そしてコスプレ広場に散っていった。

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■めちゃくちゃ渋い作品に注目が…

ワンダーフェスティバル

1928年に風刺漫画家・和田邦坊が発表した絵画「成金栄華時代」。暗い玄関で靴を探している女中に対して、太った成金の中年が100円札(現在の貨幣価値で30万円ほど)を燃やし「どうだ明るくなったろう」とドヤ顔する、あの風刺漫画だ。

それをフィギュア化しブースで展示したのは、美少女から3DCADによるホビー設計、魚類の神秘的な標本フィギュアまで手掛ける「吉本アートファクトリー」(兵庫・神戸)代表の吉本大輝さん。笑顔がステキな気鋭のクリエイターである。

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■親族の地元を盛り上げたい

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記者も教科書でこの風刺画を見たことがあったが、立体になるとまた印象が変わる。あの丸々したフォルム、そして足の角度や猫背具合が妙に愛らしい。そしてその再現度の高さに驚いたのである…。かわいい。

人気漫画やアニメのキャラのフィギュアが主流なこの現場で、なぜ「成金栄華時代」をテーマにしたのかと問うと「和田邦坊の作品を展示しているのが、香川・善通寺市の『灸まん美術館』という所なのですが、偶然ひいおじいちゃんがその地の出身。興味を持ち、フィギュアにしてみたいと思ったのがきっかけでした」(吉本さん)。

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■各地ミュージアムショップの起爆剤にも

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古い作品なため当初は著作権が切れていると考えていたが、「調査した結果、作者の没後30年しか経っていないということでまた権利が残っていた」(吉本さん)んだそう。

そこでテスト版フィギュアを製作し『灸まん美術館』に持ち込んだ。丁寧にプレゼンをした結果、美術館側からも快くOKをもらい、晴れて「公式グッズ」として製品化が決まったのだ。

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「吉本アートファクトリーではこれまで、水族館内のショップで販売している魚類標本のフィギュアなどを手掛けてきており、造形の力を使ってもっと各地の美術館や博物館、水族館を盛り上げたい、ということを常々考えていました。場所によってはミュージアムショップで売っているものがちょっと残念だったり、同じ商品だったりしますよね。それを僕たちの力で少しだけ変えたいなって…」と吉本さん。

リリース後、このフィギュアは各メディアやSNSで多く取り上げられ、灸まん美術館には問い合わせが殺到。同博物館のHPには「在庫は即完売」との説明がある。商品を求めに行きつつ、美術館の良さを再認識するファンも多くいるようで、吉本さんのアクションが地元に貢献しているようだ。

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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤

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