父の死後に精子提供で生まれたと知った女性 実父と兄弟姉妹15人の存在も判明

自分が精子提供者の子供だと知らずに育った女性。実の父だと思っていた人物の他界後に真実を知り、さらに異母の兄弟姉妹がいることもわかったという。

2024/02/12 05:45

親子・父親・母親・娘

自身が精子提供で生まれていたことを知らなかった女性が、育ての父親の死後にその事実を知った。DNA鑑定で実父が判明したが、その詳細や15人いるという兄弟姉妹の所在はわかっていない。『The Sun 』『DailyMail』がレポートした。


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■精子提供で生まれていた女性

イギリス人の父親Aさんとシンガポール人の母親に育てられたサラ・スミスさん(22)は、最近になってAさんが実父ではなかったことを知ったという。

Aさんはがんを発症したことで不妊になり治療に通っていたそうで、その事実をサラさんが知ったのは、Aさんが他界した2018年のことだった。母親はかねてからサラさんに真実を伝えたいと言っていたものの、Aさんはサラさんには知られたくなかったのだという。

サラさんは、「一部の世代は、この話題がタブーだったことは理解できます。少なくとも父親が不妊治療で多額の費用を費やしてまでも、私を授かりたかったという気持ちが感じられて嬉しいです」と明かした。

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■規制改訂で情報開示へ

1990年代、精子バンクの登録者は、精子提供の際に匿名とすることを義務付けられていた。この頃に子供ができないカップルや独身で子供を授かりたい女性からの需要が高まり、体外受精も数多く実施されていたのだという。

ところが2005年4月に規制が改訂され、これ以降に生まれた子供は18歳になれば、ドナーに関する情報開示が認められるようになった。実際は、DNA鑑定キットや結果照合サイトなどを介して、公式ルートを利用せずに血縁や親族を特定できるようになってきているそうだ。

サラさんは、数年前に精子バンクの書類を実家で偶然見つけたが、Aさんの強い反発を受けて深く追求できなかったという。それは、がんを患っていたAさんが精子を凍結したのだと思っていたサラさんにとっては、意外な展開だった。

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■出生の秘密がトラウマに…

サラさんは精子提供により出生したことを知ると、「彼氏がもし兄弟だったら」と考えてしまい、人との出会いがトラウマに変わったという。

そこで兄弟姉妹の情報を入手するため、サラさんはDNA鑑定キットを利用していくつかの照合サイトで検索をかけたところ、一人のイギリス人男性がヒットした。その人こそが、サラさんの実父だったそうだ。

2005年以前に生まれたサラさんには、精子ドナーの個人を特定できる情報開示は許可されておらず、「白人、身長と体形は中程度、目が茶色、髪の毛も茶色」ということしかわからなかった。ただし、実父の精子提供で他にも出生記録があり、サラさんには父親が同じ兄弟姉妹が15人いることが判明した。

イギリスの配信プラットフォーム「ITV」で、精子提供で誕生した人の物語を紹介するドキュメンタリー『Born From The Same Stranger』が今年1月より放送を開始した。サラさんの物語は、第1回放送の「エピソード1」に収録されているという。

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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子

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