日本から中国への輸出が大幅減 脱中国依存でインドやASEANに期待

日本産海産物の全面輸入停止という措置に出た中国。これが解除される見込みはなく、今年8月の中国の輸入総額も大幅減。インドやASEANなどへ舵を切れ。

日本と中国の国旗

福島第一原発の処理水放出によって中国が日本産海産物の輸入を全面的に停止したなか、中国税関当局は9月に新たな統計を公表し、8月の日本からの水産物の輸入総額が前年同期比で70%近く減少したことを明らかにした。


関連記事:世界で進む企業の脱中国 日本も早期に中国依存からの脱却を

■日本から中国への輸出は大幅減

当然の結果と言えばそれまでだが、ホタテ貝やウニなど新鮮な海産物の多くを中国に輸出してきた北海道や東北の水産企業は、突然輸出できなくなったことから大きな悲鳴を上げている。

そして来月公表される統計ではさらに減少幅がアップしているであろうことから、日本の水産業者の不安は膨れ上がっている。

輸入停止が解除される見込みは現在のところない。習近平政権は国民の不満の矛先を日本へ向けさせるために輸入停止という措置を講じたので、ここで解除すれば習氏の立場がさらに危うくなり、国民の不満はいっそう膨れ上がるだろう。

関連記事:日本産海産物の全面輸入停止 反日的メッセージはスルーも中国政府の真意は

■新たなフロンティアを開拓せよ

中国一辺倒ということ自体がリスクでしかない。それは今回のケースで証明された。

日本の水産業者としては、中国頼みの姿勢を反省し、これから人口増加と経済発展が見込まれるインドやASEANへ比重を移していくべきだろう。経済発展がどれほど上手くいくかという不安もあるが、今後インドやASEAN諸国では中間層が増加するとみられ、新鮮な日本産海産物への需要は上がることが期待される。

今後の中国経済は暗い時代に入ることから、その中国に強く依存することはビジネス上リスクでしかない。そして、これは水産業者だけでなく、製造業など他の日本企業にも当てはまることだ。日本経済全体で脱中国依存を図る必要があろう。

・合わせて読みたい→世界で進む企業の脱中国 日本も早期に中国依存からの脱却を

(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

2030年中国ビジネスの未来地図―9億人新市場が誕生する日【Amazonでチェック】