導入に向けて検討が始まった「共同親権」 印象を聞くと意外に男女差はなく…

日本も締結しているハーグ条約では「国際的な子の連れ去り」が違法に。先進各国と異なる日本の親権制度が問題となっているが…。

離婚後共同親権

「3組に1組の夫婦は離婚する」とも言われる時代。これは、年間の婚姻件数を離婚件数で割った特殊離婚率と呼ばれる数値で、2020年は36.5%と過去最高を記録している。


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■G7各国は「共同親権」

離婚の際、揉めがちなのは慰謝料や財産分与、さらに子供がいる場合にはその親権争いだ。これは、日本の民法では離婚後の親権・監護権がどちらか片方の親が持つと定められているため。

ところが、日本を除くG7各国は婚姻中・離婚後ともに共同親権・監護権を認めている。「たとえ両親が離婚したとしても、子供からどちらかの親を奪わない」という子供の視点に立った考え方だ。

国によって親権の考え方が異なると、国際結婚などで離婚した片方の親が相手の同意なく子供を自らの故郷の国へ連れ去ってしまうケースも。

これは、1980年に採択されたハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)で禁止されており、「実子誘拐」とも呼ばれる。日本も、遅ればせながら2014年4月にこの条約を締結した。

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■豪政府が日本に勧告も

今年3月には、オーストラリア政府が日本の法務省に対して共同親権導入を促すなど、国際的にも問題となっている日本の親権制度。ただ、4月には国の法制審議会が共同親権導入に向けて具体的な検討を始めることも報じられた。

共同親権制度が導入されれば、離婚協議や裁判の際に泥沼の親権争いを避けることができる。同居していない親も親権が継続するため、養育費を負担するモチベーションにもつながりやすい。

一方で、配偶者にDVがあった場合などは、親権を行使するために元夫婦が協議しづらいというデメリットも。世間は、現在どのような印象を抱いているのだろうか。


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■6割は「どちらとも言えない」

Sirabee編集部が、4月22〜24日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に「離婚後共同親権」について調査したところ、「メリットのほうが大きい」という答えが24.1%。「デメリットのほうが大きい」が20.2%。

現状では、メリットを感じる人のほうがデメリット派を上回っている。ただ、全体の6割に迫る55.7%は「どちらとも言えない」と回答。この問題をめぐる詳しい報道や解説も十分ではなく、イメージしづらいのだろう。

離婚後共同親権


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■男女の差はなし

離婚調停や裁判においては、父親よりも母親に親権が認められやすい、としばしば言われる。この問題について男女差があるのか検証してみると、意外な結果に。

離婚後共同親権

メリットを感じる人は男性が1.4ポイント多く、デメリット派は女性が1.6ポイント多いが、ほぼ誤差の範囲内で大きな傾向に違いはない。男女とも、現状ではメリット派がデメリット派を上回っていることがわかった。


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■若い世代は関心か

年代別では、10〜20代や40代では「どちらとも言えない」が他世代と比較するとやや少なく、結婚・家庭づくりや子育てがリアルななか、この問題が自分ごと化している様子がうかがえる。

また、唯一30代だけ、デメリット派がメリット派をわずかに上回った。ただ、いずれにせよ半数以上が賛否を留保している状況で、国は丁寧な説明をする必要がありそうだ。

離婚後共同親権


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■著者紹介

タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター

1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。

著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ!』(宝島社新書)。

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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2023年4月22日~4月24日
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)

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