就活、ES・履歴書の「顔写真不要」で… 採用側が直面する”意外な苦労”

就職戦線異常あり!? 履歴書に顔写真を求めない企業が増えている。採用側が明かす本音は…。

2023/03/06 04:15

面接・面談

1日、2024年度卒の大学生を対象にした就職活動が解禁された。学生達は慣れないスーツに身を包み、選考に臨んでいくことであろう。

近年、これまで当たり前とされてきた就活の「常識」に変化が起きていて…。

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■顔写真不要の企業が増加

新卒採用は、企業によって多少異なるものの、書類選考→筆記試験・SPI→面接という流れで行なわれる。書類選考は、学生がエントリーシート(以下、ES)や履歴書に志望動機や学生時代に打ち込んだこと等を記入し、会社がそれらをチェックして合否を決めるというもの。

その際、学生は証明写真を貼りつけたり、画像データをウェブでアップロードするというのが一般的だった。ただ、近年はLGBTなど性的少数者への配慮や、外見で人を判断しないようにするという社会の流れに従って、ESや履歴書の顔写真が不要な企業が増えている。

顔写真がなくなったことに対して、採用する側はどう感じているのだろうか。就活アドバイザーで採用コンサルタント業務にも関わる霜田明寛さんに話を聞いた。

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■先入観を持つのを防げる

霜田さんは、顔写真がないことによる採用側のメリットについてこう語る。「顔写真を見て、無意識に『こういう人が書いてる』と先入観を抱いて読むことがなくなりました。ESや履歴書にカラフルな顔写真があると、どうしてもそこに目が行きがちです。写真がないことで、より書かれた内容に向き合えるようになったと思います」(霜田さん)。

例えば、外見が少々派手な学生の写真を目にすれば、頭の片隅でそのイメージを抱きつつESを読む可能性があるということだ。もちろん、書類選考は顔写真のみで合否が決まるわけではないが、写真による先入観を持つことは防げる。

ただ、前出の霜田さんは「書類選考だけで内定が決まるわけではありません。選考が進めば面接で顔を合わせるので、顔写真がなくなったことで内定をもらえる人が出たとは言い切れません」と補足する。顔写真がなくなったことで、特定の学生が得することはないのだ。


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■学生の空気感を感じにくい

顔写真がないと、いい意味での”ギャップ”も感じにくくなるようだ。前出の霜田さんが続ける。

「例えば、外見は少し派手に見えてもコツコツ努力するタイプだったり、大人しそうに見えるけどアクティブに行動できるタイプといった写真とのギャップも評価の一つになります。そうしたギャップを感じ取ることができなくなりました」(前出・霜田さん)。

先述した写真による先入観がなくなった裏返しでもあるかもしれない。学生の醸し出す空気感も読み取れなくなったという。

「選考の際、採用担当者同士で顔写真を見て『うちの○年目の社員に似た雰囲気だね』『それならうちで上手くやっていけるかもね』と話したりします。文章よりも顔写真のほうが『社内のあの人に似てる』というのが分かりやすいですからね」(前出・霜田さん)。

面接でもそうした空気感を感じることはできると思うが、顔写真がないESや履歴書だと、自分の会社にマッチしそうな人材を発見するチャンスを逃す恐れもあるということだ。


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■「手書きの履歴書」は評価される?

履歴書関連でよく話題に上がるのが、「手書きで履歴書を書くと評価されるか否か」という点。今やウェブ上で履歴書をアップロードする企業も多い。

ただ、いまだに「本気で受かる気があるなら履歴書は手書きで書くべき」と主張する、根強い”手書き派”が存在するのも事実。では、仮にパソコンか手書きか指定されておらず、手書きで履歴書を提出した場合、評価につながることはあるのだろうか。

前出の霜田さんは、「その会社の価値観による」と前置きしつつ、こう語る。

「企業によっては、パソコンというツールがある中、手書きで書いたことで、“効率的に作業できない人”や“情報収集能力が足りない人”といったマイナスのイメージを持たれる可能性があります。もちろん、手書きも評価の指標になるところもありますけどね」(前出・霜田さん)。

「手書きの味」も理解できるし、手書きそのものは否定しないが、就活において”本気度が高い”と評価する企業は少ないかもしれない。

かつては、当たり前だったことも時代の流れと共に変化している。これから、就活に臨む学生はそうした変化にも臨機応変に対応し、内定を勝ち取ってほしい。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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