「10ドルの朝食」が2300円… 経済評論家も悲鳴上げたハワイ旅行の現実

【得する経済学】今年のクリスマスは3年ぶりのハワイ旅行! …そう意気込んだ経済評論家は到着日、早くもインフレの洗礼を受けます。

2022/12/30 06:00

ハワイ

「えーっ!何でこんなに高いの?」

と経済評論家の私が悲鳴を上げたのは、クリスマス休暇でやってきたワイキキのファミレスの支払いの時でした。噂に聞くアメリカのインフレですが、ハワイに来てみたら本当に高かった。先にお値段を紹介すると家族ふたりで食べたとてもシンプルな朝食代金が合計で4,660円! 今回はなんでそんなことになるのか、海外旅行と円安のメカニズムの話をしたいと思います。

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■ハワイの朝はブレックファーストで始まる

この日、早朝に到着したハワイでホテルにチェックインできるまでの間、まずは朝食でも楽しもうとIHOPという、日本で言えばデニーズのようなファミレスでハワイらしいブレックファーストを取ろうと思ったのです。

一応、経済評論家なのでアメリカではインフレがひどいという知識は持っています。丸亀製麺で支払いがひとり2,000円だったとかそんな話はたくさん耳にするので、「せいぜい気をつけなきゃな」と警戒しながらヤシの木が並ぶ通りが見晴らせる席についてメニューを見ました。

日本で同じようなシチュエーションでデニーズにて朝食をしたらひとり660円です。サラダと目玉焼き、ベーコンにパンケーキをつけて、ドリンクバーを注文できるセットメニューがその価格です。ハワイでも周囲の人を見渡すとだいたいそんな食事を食べています。

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■「インフレ注意」とアドバイスは聞いていたが

ハワイ

ただアメリカの朝食って量が多いんですよね。そもそも価格を見るとそのような料理は$18といった価格表示になっています。これは要注意。食べ残したうえで料金も高くなりそうです。

経済評論家の知識としてこういう時、メニューの角のほうに比較的小食の人向けのコースが書かれていることを知っています。探してみるとこのお店で一番シンプルなメニューはパンケーキだけの朝食の$15なのですが、その横に小さく、

「パンケーキ3枚なら$9.99」

と書かれています。ちなみに普通のアメリカ人向けの量はパンケーキ5枚から。

「これでいいよ。日本人だし」ということでふたりともパンケーキ3枚の朝食を注文することに。ふたりで$20、つまり古い昔の感覚的には、「だいたいひとり1000円台だな」というオーダーなのですが、なぜここから値段が積みあがるのか? そのメカニズムを紹介しましょう。


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■いきなり注文額が1.5倍に!!

まず注文時に「何を飲む?」と聞かれるので、

「コーヒーをふたつ」

と当然のように注文します。まあ$3はするかなと思ったこのコーヒーが実は$5ほど。つまりこの段階で注文代金が1.5倍に増えていました。

お食事自体はとても快適です。ハワイと日本の違いといえば店員さんとわたしたちお客さんが結構対等なんですよね。楽しく会話しながら仲良くなるといろいろとサービスしてくれる。サービスしてくれると言っても、

「もっとコーヒーおかわりいるでしょ?」

ぐらいの感じで気をきかせてくれるのです。そしてここは安心してほしいのですけれどアメリカではコーヒーやソフトドリンクのおかわりは無料です。


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■人件費も上昇! 「18%のチップ」を支払うと

そして会計です。まず「州税」が4.71%。ここは日本の「消費税」よりも高くはない。しかし、この時点で支払い総額は29.90$になっています。そしてここにチップが加わります。

人件費が高騰するアメリカでは飲食の際に18%ぐらいチップを払うのが当たり前という空気になっています。以前アメリカでのチップは15%が飲食での標準ラインだったのですが、インフレの今、チップの相場は微妙に上がっています。電卓で計算して最終的に支払ったチップは$5.4です。

それでサインをしてレシートを見ながら電卓をたたきます。それが冒頭のシーンです。

「えーと、チップを加えると支払い総額が$35.30だね。今、1ドル=132円台だから132倍すると」

と言って電卓をたたいてみてびっくりです。4,660円!

教訓としては「ひとり10$程度だと思って注文した朝食代金が最後は2,330円」ということで、アフターコロナのリベンジ旅行は初っ端から痛い出費で始まってしまいました。涙。


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■著者プロフィール

鈴木貴博

Sirabeeでは、経済の素朴な疑問に対して明快な解説をする経済評論家にして戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。

今週は「アメリカのインフレ事情」の現地報告でした。

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(文/鈴木貴博

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