泥沼状態のウクライナ戦争 停戦の鍵握るのは軍事、政治、経済の「限界」

【国際政治の表と裏】収束の糸口が見えないウクライナ戦争。果たして、過去の戦争はいかにして集結してきたのか。振り返る。

2022/12/06 05:15

■歴史からの教訓

以上の例を参考にウクライナ戦争を考えると、日露戦争と違って、両国とも軍事的、政治的、経済的に限界には達していない。ウクライナにはNATOから最新の兵器が供与され続けており、武器弾薬が尽きたフィンランドとは違う。ロシアは軍事大国であり、核兵器も持っている。

また、日露戦争のときのセオドア・ルーズベルトのような、交戦国よりも強い国の仲介役がいない。米英独仏伊はウクライナ側で、中国はロシアの友好国である。トルコやイスラエルも仲介努力をしているが、軍事力や経済力でロシアやウクライナを停戦させる能力はない。


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■「革命」は起こるか?

レーニン

第一次世界大戦のときは、ロシアではボルシェヴィキ革命が起こり、帝政は倒れ、革命の指導者レーニンは1918年3月に講和に踏み切った(ブレスト・リトフスク条約)。

ドイツでも1918年11月にドイツ革命となり、それがきっかけとなって、ドイツも講和を選択したのである。保守派は、戦場でドイツ軍が負けたのではなく、この左翼の革命という裏切り(「背後からの一突き」)によって、ドイツは敗北したと非難する。そういう雰囲気のなかで、ヒトラーのナチスが勢力を拡大していくのである。

今はプーチンやゼレンスキーを排除するような「革命」のようなことが起こる可能性は低いであろう。停戦への道は険しそうである。


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■執筆者プロフィール

舛添要一

Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。世界各国のイマについて深掘り分析する連載です。今週は、未だ先行きが見えないウクライナ・ロシア戦争をテーマにお届けしました。

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(文/舛添要一

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