崩壊した家で飼い主を待ち続ける犬 爆撃続くウクライナで犠牲になる動物たち

犬の飼い主の家族には、子供も2人いたという。

2022/10/06 07:00

犬・家族

ロシア軍がウクライナに侵攻して以来、多くの人が都市部からの避難を余儀なくされているが、家族全員が揃って移動できるわけではない。ペットや家畜が置き去りにされ、爆撃の犠牲となったり、食べる物がなく餓死しているという。

瓦礫の中で飼い主の帰りを待ち続ける悲痛な犬の姿がSNSで公開され、『Mirror』などの海外メディアで報じられた。

【動画】暗闇の中で飼い主を待ち続ける犬


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■瓦礫の上に佇む犬

先週、ウクライナの国防省の公式ツイッターが、ウクライナ東部のドニプロで撮影されたというある犬の写真を公開した。写真の中の犬はうずたかく積まれた瓦礫の上に佇んでおり、目はどこか遠くを見つめているようだ。

国防省によると、この犬の名前はクリムといい、崩壊した自分の家があった場所で飼い主を待ち続けているのだという。別の人が公開した動画では、夜の暗闇のなか、人が声をかけても家から動かないクリムの姿が映し出されていた。

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■実家は爆撃の犠牲に…

クリムの飼い主であった家族は、ロシア軍による爆撃を受けて亡くなり、崩壊した家の下敷きになってしまったと考えられている。

爆撃後、クリムだけは瓦礫の間をぬって這い出ることができた。飼い主たちが亡くなったことを知ってか知らずか、クリムは瓦礫の上で家族を待ち続けているのだという。

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■「胸が張り裂けそう」の声

クリムの孤独な姿を見た人々からは、「胸が張り裂けそう」「どうかこの犬を助けてあげて」「多くの写真を見てきたけど、そのなかでも特に悲しい。戦争は許せない」などとコメントが寄せられた。

現在、クリムは無事に保護されたようで、ゆっくりではあるが飼い主のいない状況を理解してきているという。


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■置き去りにされる動物たち

ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻して以来、約1,300万人が自宅から避難している。多くの人がペットや家畜を置き去りにせざるを得なくなり、爆撃や現地での残虐行為によって、大勢の動物が殺されている。動物たちを連れて列車に乗ることが許されないために、駅に繋がれて放置された動物もいるという。

戦争で傷ついた動物たちを支援しているというイギリス人のレベッカ・オリバーさんは、「誰にとってもひどい戦争であることは確かだけど、人間は少なくとも何が起こっているかわかっているのに対して、動物たちはただそこに置き去りにされている」と、やりきれない思いを打ち明けた。

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■【動画】暗闇の中で飼い主を待ち続ける犬

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(文/Sirabee 編集部・広江おと

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