サル痘感染者確認で「外国人に触れないように」 中国衛生局トップの警告に批判

中国本土には、世界で最も厳しいとも言われるパンデミック規制が敷かれている。

2022/09/28 10:00

研究室

中国国内で初めてサル痘の感染者が確認されたことで、衛生局のトップが警告した内容が物議を醸している。「新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃を彷彿とさせる」と評される警告を、『CNN』や『BBC』などの海外メディアが報じた。


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■中国で初のサル痘感染者

5月頃から世界各地で発生し始めたサル痘は、インフルエンザに似た症状と水疱のような病変を引き起こす感染症だ。欧米を中心とした流行では、5万2,000人以上の感染例が報告されているサル痘だが、このほど中国・重慶でも感染者が記録された。

厳しい国境管理によって、これまでサル痘の蔓延を防いできた中国国内では、これが初めての感染例だ。

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■「外国人と肌を合わせないように」

これを受けて中国衛生局のトップであるウー・ズンユー氏は、中国版ツイッターであるWeiboに5つの警告を書き込んだ。

そこには、一番に「サル痘の感染を防ぐため、また健康的な生活の一環として、外国人と直接肌を合わせないことをお勧めする」と記されており、その後に衛生管理の徹底や便座のアルコール消毒といった、一般的な感染症予防の警告が続いた。

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■「なんて人種差別的」の声

ウー氏のこの警告は、人々に新型コロナウイルスの感染拡大時に起こった中国人、ひいてはアジア人全体への差別を彷彿とさせたようだ。

投稿は広く共有され、「なんて人種差別的なんだ」「コロナの感染が拡大した時に、海外の一部の人が中国人を避けていたのと似ている」「あの時は何人かの外国人が立ち上がり、中国人はウイルスではないと言いながら我々を擁護してくれた」といったコメントが寄せられた。

「中国には外国人労働者や長期滞在者が多いが、現在は新型コロナウイルスの影響で出国がままならないため、彼らがサル痘に感染している可能性の低さは中国国民と同じだ」と、ウー氏の警告に科学的根拠がないことを指摘する声もあった。


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■閉じられたコメント欄

現在この投稿へのコメント欄は閉じられ、返信を寄せられないようになっている。しかし多くの人が、ウー氏の警告は国民のパニックを悪化させるのではないかと案じているようだ。

当局は、中国国内での最初のサル痘感染者が、外国人だったのか中国国民だったのかは明らかにしておらず、今後の対応に注目が集まっている。

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(文/Sirabee 編集部・広江おと

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