妊娠6週目以降の中絶を禁じる米オハイオ州 強姦被害の10歳少女はやむなく他州へ

中絶を選ぶ権利を求め、全米各地で大勢の女性たちが抗議を続けている。

2022/07/08 10:00

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先月24日、アメリカの連邦最高裁が、人工妊娠中絶を選ぶ権利を少女や女性に認めた50年ほど前の「ロー対ウェイド判決」を覆す判決を下し、波紋が広がっている。

今後、中絶手術を受けられない少女や女性が急増することになるとみられるが、性的暴行の被害者たちは救済されないのだろうか。

今、オハイオ州在住の女子小学生の事例に大きな注目が集まっていることを、アメリカのメディアのほか、イギリスの『The Sun』や『The Guardian』なども伝えている。


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■少女は中絶を切望も…

問題になっているのは、オハイオ州の10歳少女。強姦被害で望まぬ妊娠をしたにもかかわらず、地元の産婦人科医に中絶手術を拒まれた。

少女の中絶手術については人権擁護団体も支援したが、州の高等裁判所はそれを却下。そのため少女と家族は先月27日にインディアナ州に向かい、インディアナポリスのある産婦人科医のもとで手術を受けたという。

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■駆け込み寺だった州にも変化

オハイオ州には「胎児の心拍活動が始まる妊娠6週目以降の中絶を禁じる」と法で定めており、少女は3日だけその期限を過ぎていた。

見るにみかねた医師が、少女の中絶手術を引き受けてくれる医師を他州から探した。しかし、そのインディアナ州でも中絶手術を禁じる法改正の動きが活発化しており、早ければ州議会が今月中にも議論を開始するという。

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■性暴行被害も中絶は禁止

現在、全米の約半数の州が中絶手術をほぼ完全に制限する方向にあるが、たとえばサウスダコタ州では、妊婦の「命」がかかっている場合以外、中絶手術は禁止。それを行えば医師が罪に問われることになる。

近親相姦や性的暴行による妊娠でも、また未成年の少女でも例外扱いにはならないという解釈に、「あまりにも無茶苦茶だ」という声が上がっている模様だ。


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■「ロー対ウェイド判決」とは

それまで中絶を厳しく法で規制していたアメリカにおいて、「女性には妊娠を終わらせるかどうかを決める権利がある」として、米連邦最高裁が1973年に下した中絶を認める判例が、ロー対ウェイド判決(正式名:Roe v. Wade, 410 U.S. 113)だ。

ギャラップによる2021年5月の世論調査でも、アメリカ人の約8割が「中絶を支持する」「まあまあ支持する」と答えていただけに、全米各地で今、市庁舎や裁判所の前に大勢の女性たちが集まり、中絶を選ぶ権利を改めて求める抗議が続けられている。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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