この電光表示、上から目線と思いきや… 全国のドライバーが「最高すぎる」と大絶賛

熊本県に出現中の一風変わった電光掲示板、よく見ると…。意外すぎる正体に称賛の声が相次いでいるのだ。

2022/06/04 04:45

■「令和の警察」はここまで進化していた

前述の通り、件の表示は熊本県内でのみ使用され、主要幹線道路等の約50箇所にて表示されているものと判明。これらは「交通情報板」として、渋滞情報等をドライバーに伝えることが主な目的のため、表示する「渋滞情報」等がないときに「交通安全啓発情報」が表示されるのだ。

「交通安全啓発情報」と書くと堅苦しい印象を受けるが、今回はなぜ「シャア専用啓発情報」ともいえるユニークすぎる表示を採用したのだろうか。

表示内容決定までの経緯について、担当者は「幅広い年齢層に届く内容であることを最初に意識しました」と前置きしつつ、「コロナ禍の巣ごもり需要で『ガンダム』のプラモデル人気が再燃しており、親子で一緒に製作している家庭が多いとの情報や、初代ガンダムの映画公開(『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』)のタイミングを考慮し、初代ガンダムのテレビアニメが放映されていた当時子供だった1970年代生まれの親と、その子供(免許を取得し始める高校生くらい)をターゲットに、親子で交通安全を考えるきっかけにしてもらえればとの思いで考えました」と振り返っている。

熊本県

しかしやはり、内部では揉めに揉めたのではないだろうか…と不安がよぎったが、「組織内部の決裁についても、柔軟な考えの上司に恵まれ、特に問題なくスムーズに進行できました」というコメントも見られ、我われが想像している以上に現代の警察はユーモアに理解を示してくれているようだ。


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■熊本県警の「努力」に拍手…!

なお、熊本県内でこうしたユニークなメッセージが見られるようになったのは、今回が初めてではない。

熊本県警では、2013年から県民の交通安全に対する意識の高揚および、交通死傷事故抑止を図るために、熊本弁や流行語を取り入れた交通情報板による「臨機応変」で「効果的」かつ「タイムリー」な交通安全啓発活動を推進しているのだ。

熊本県

開始当時の状況について、熊本県警からは「2013年当時の最初の担当者が『悲惨な交通事故を1件でも減らしたい』と強く思い、従来の決まり文句の繰り返し的な呼びかけでなく、運転手等の記憶にとどまる内容での広報啓発方法を検討し、その結果、流行語や方言等を取り入れることとなったとのことです」「初めての取り組みであるため、当時の担当者は苦労したと思います」という、先人へのリスペクトを感じさせるコメントが。

開始当初は本来の制作意図である「交通事故抑止」という重要な課題に反し、内容の面白さやユニークさがネットやテレビ番組等で取り上げられる形になってしまったが、結果として交通事故防止の呼びかけが広く認知されることに成功。

「交通情報板による交通安全啓発活動を含む各種交通事故防止対策が効果を示し、熊本県内の交通事故情勢については、減少傾向を示しています」という補足も見られ、県警の努力の成果がヒシヒシと感じられる。


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■それにしてもこの県警、ノリノリである

…と、ここまで非常に感動的なエピソードが続いたのだが、どんなときもユーモアセンスを忘れないのが熊本県警の魅力だろうか。

例えば今回のメッセージの表示期間について尋ねると、「表示期間は6月1日から6月10日までの10日間です」と回答しつつ、「通常30日間ほど掲載しますが、なぜか通常よりも3倍の速度で掲載期間が過ぎるため、10日間となっています」という補足が添えられたのだが、こちらは完全にシャア専用のザクが「通常のザクより3倍速く動ける」ことに対するオマージュ。

また熊本県内だけにとどまらず、全国のドライバーに向けたコメントを希望すると「これから梅雨時期となります、濡れた道路では制動距離が延びますので、スピードは控えめに、常に二手三手先の危険を予測した安全運転をお願いします」と語りつつ、「くれぐれも運転中に交通情報板を撮影したり、『当たらなければどうという事はない』と言いながら、車道に出て撮影しないようお願いします」と、抑えきれないガンダム愛を炸裂させていたのだ。

なお、気になる電光掲示板の続編についてだが、「安全運転 私の好きな ○○です」という、とんでもない匂わせメッセージが寄せられている。

同課では道路の交通情報板だけでなく、県警公式ツイッターでも情報を発信しているため、ぜひフォローして最新の情報をチェックしておこう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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