日高屋の「モリモリサービス券」が終了… 本社に聞いたサービス中止の”切実な理由”
4月末で日高屋の「モリモリサービス券」が終了する。「エンドレス大盛りがなくなる」と惜しむ声があがって…。
「長きにわたり多くのお客様にご愛願いただきまして誠にありがとうございました」──。18日、日高屋の公式ホームページで衝撃的な発表があった。
麺類の大盛りが無料になる「モリモリサービス券」が4月30日をもって配布終了するというのだ。なぜ、終了してしまうのか。日高屋本社に問い合わせると、「切実な理由」が明らかになって…。
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■中華そば390円の圧倒的安さ
日高屋は、東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に400店舗を展開する中華料理チェーン店。同店の売りはなんといっても圧倒的な安さだ。中華そば390円、チャーハン460円、餃子6個230円とリーズナブルかつ、おいしい料理を提供している。
仕事終わりにお酒を飲みながら餃子をつついたり、お昼にガッツリ定食を食べるなど、さまざまなシーンに対応している。余談だが、記者も大学進学のため東京に出てきた初日、初めて日高屋のニラレバ炒め定食を食べて以来大ファンになり、学生時代は週に3~4回通っていた。
■「モリモリサービス券」配布終了
15日には、7月31日まで全商品の価格を据え置きにすることを発表した日高屋。昨今の原材料費高騰による「値上げラッシュ」の中でも、家庭の心強い味方であることを実感していた。
値上げしないことに胸をなでおろした3日後、まさかの「モリモリサービス券」が配布終了することが発表された。この券は、お店で食事をした後にもらえるもので、麺類とライスの大盛り分を無料にするか、味付け卵か温泉卵を通常プラス100円のところを50円で追加することができる。
しかも、食事するたびにもらえるので、麺とご飯が実質永久タダになるというお得すぎる券だったのだ。なお、券の配布は4月30日で終了するが、サービス券は記載されている有効期限まで使うことができる。
■配布終了を惜しむ声が…
ネット上では、「昼ご飯に大盛りラーメンできなくなっちゃうの悲しい…」「モリモリ券終了と聞いて絶望している」「エンドレス大盛り終了のお知らせ」「日高屋のサービス券がなくなるあたり飲食業界の厳しさを感じる」など、サービス終了を惜しむ声があがっている。
■日高屋本社に聞いた「理由」
「モリモリサービス券」はなぜ終了してしまうのか。日高屋本社であるハイデイ日高に問い合わせた。
「昨今の原材料高騰を受けて、値上げも検討しましたが、弊社としてはできる限りお客様に安くてよりいいものを食べていただきたいため、値上げは最後の手段にしようと考えました。ただ、弊社も価格高騰の影響を受けていないわけではありません。実は、モリモリサービス券を使われるお客様は3割程度です。7割の方が使われていないことを考えたときに、価格を上げることで日高屋を利用されなくなることを懸念しました。そこで、サービス券を使われていた3割の方には、大変申し訳ないのですが、様子見も兼ねていったん終了させていただくことにした次第です。ただ、一時的に終了しますが、廃止するのではなく、別の形のサービスを検討しております」(ハイデイ日高広報)。
厳しい状況の中、値上げはしなくても何らかの対応は必要だったのだろう。原材料価格高騰に加えて、こんな事情もあるという。「デジタル化も関係しています。ここ数年、紙のサービス券に対する見方が変わりつつありました。多くの店舗にタッチパネルを導入していますが、パネルで注文されたお客様にも、サービス券を持っているか確認しなければなりませんでした。また、これまでは現金払いがメインでしたが、キャッシュレスに移行していく中、デジタルクーポンでの割引にしたほうが多くのお客様に都合がいいのではないかと考えました。財布の中にサービス券があると邪魔に感じるお客様もいらっしゃるので、今後はデジタルクーポンに絞ることも検討しております」(前出・ハイデイ日高広報)。
サービス券でいつでも大盛りにできたワクワク感がなくなるのは残念だが、日高屋はこれまで以上に食事を楽しめるサービスを出してくれるはずだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)