フロリダ州の5〜11歳児コロナワクチン接種「健康なら奨励せず」 政府は猛批判

「5歳から11歳の子供たちに接種しても、予想以上の速さで抗体が減少」と、フロリダ州公衆衛生局長は話している。

2022/03/09 20:00

注射・ワクチン・接種

子供たちへの新型コロナウイルスワクチンの接種について、全米で初めてフロリダ州が「健康な5歳から11歳までの子供には奨励せず」という方針を打ち出した。ニューヨーク州で集積されたデータに基づく判断だという。

『CBS News』『abc News』『Forbes』『NEW YORK POST』『CNN News』ほか全米の大手メディアが続々と伝え、海外からも大きな注目が集まっている。


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■異端で有名な州公衆衛生局長

「健康な5歳から11歳までの子供に新型コロナウイルスワクチンの接種は不要」と述べたのは、フロリダ州の外科の権威であるジョセフ・ラダポ博士だ。

ハーバード大学院での専門が医療政策だったことから、フロリダ大学医学部で教鞭をとる傍ら州公衆衛生局長を務めているが、「コロナにすでに感染した人のワクチン接種は不要」「感染しても無症状なら子供は学校へ。授業を受けられなくなるほうが心配だ」などと発言。

専門家の間では異端者呼ばわりされることも多いという。

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■Zoomで討論

そんな中、アメリカでは昨年11月上旬から5歳から11歳の子供たちに対してファイザー製ワクチンの接種が始まり、接種後の副反応や抗体値などに注目が集まっていた。

そして今月7日、ラダポ氏はZoomを介して行われた『The Curtain Close on COVID Theater』という会議に出席。ロン・デサンティス知事や政府の新型コロナウイルス対策に異論を唱える医師などと討論を交わした末に、その「奨励せず」という方針を打ち出した。

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■ニューヨーク州の報告に注目

根拠として、接種を受けたニューヨーク州の子供たちのデータを挙げたラダポ氏は、「5歳から11歳では予想以上の速さで抗体が減少することがわかった」と説明している。

またオミクロン株の感染を防ぐ効果は12歳以上に比べてぐんと低く、接種される成分量が12歳以上の子供たちの3分の1であることを「少なすぎるのでは」と指摘している。

このあたりについて、アメリカの状況を見守り接種後の報告を待っているという専門家は、日本も含め海外には非常に多い。


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■ホワイトハウスは猛反論

ホワイトハウスのサキ報道官は、フロリダ州が打ち出したその方針について見解を求められると、「絶対に間違っています」と強く反論した。

「私たちはサイエンスというものを知っており、ワクチン接種が正しいことはデータが教えてくれています。陰謀説や話の捏造で反ワクチンを唱える政治家がいることは由々しき問題です」と述べ、ラダポ氏を強くけん制した。


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■基本的な対策は薄れる一方

マスクの着用、手指の消毒、密を避ける行動など、基本的なことが徐々に守られなくなってきているアメリカだけに、やはりワクチン接種を勧める医療従事者は多い。

現時点で、米国疾病予防管理センター(CDC)、米国保健福祉省(HHS)、ジョンズ・ホプキンズ大学医学部、世界保健機関(WHO)、米国小児科学会(AAP)などが、感染した場合の重症化・入院リスクを劇的に減らす効果があるとして、5歳児以上への接種を強く奨励している。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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