ピンク色と赤いネイルを愛した12歳少年 同性愛へのいじめを苦に自殺

少年の両親は「その死を無駄にしないために」と、いじめ撲滅を目指す活動を始めている。

2021/12/13 16:30

LGBTQ

体に表れる性別と異なる性の意識が生まれ、その違和感を抱えながら成長する子供たちがいる。ファッションや色、柄の好みにそれが表れると、周囲のからかいや冷ややかな目に苦しみ、傷つくことが少なくない。

このほどアメリカ・テネシー州で、中学1年生の男子生徒がいじめを苦に自殺した。

地元メディア『WKRN-TV』『WLTX News19』による報道を、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)のための情報サイト『The Advocate』が伝え、世界に波紋を広げている。


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■透き通る白い肌に大きな瞳

少年はテネシー州・ベッドフォード郡のシェルビービル市に両親、5人の兄弟とともに暮らしていたエリ・フリッチリー(Eli Fritchley)くん(12)。

カスケード・ミドルスクールの7年生だったエリくんは、透き通るような白い肌、肩まで伸ばしたブロンドの髪と大きな瞳で、女の子に間違えられることも多々というなか、先月28日の夜に自宅の寝室で自ら命を絶ってしまった。

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■少年を傷つけた言葉

悲しみをこらえながら、エリくんの両親は地元メディア『WLTX News19』の取材に応じ、「息子は学校では『オカマ』と呼ばれていたことがわかりました。いじめは身体的な攻撃ばかりではありません。言葉も相当な破壊力を持っています」と述べた。

デビーさんは、「エリは『同性愛者は地獄に堕ちる』と言われたことを気に病んでいたようです。毎日のようにスポンジ・ボブ柄のセーターを着て登校し、他のものはピンク色が好き。爪も赤く塗っていましたから、そういうことを度々からかわれていたようです」と話している。

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■「個性を受け入れる教育を」

また父親のスティーヴさんは、「息子はマーチングバンドでトロンボーンを担当し、楽しそうでした。『いじめなんて気にしない』といつも明るく振る舞っていましたが、本当はとても傷ついていたのでしょう」と話す。

同性愛、性同一性障害などを含め、性に関しても今は多様性を認める時代だとし、「各々の個性を受け入れ互いを思いやることを、学校でも家庭でも子供たちにしっかりと教育してほしい」と訴えた両親。エリくんの死を無駄にしないためにも、いじめの撲滅を目指す活動を始めたそうだ。


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■「黒ではなく明るい色を」と兄弟

せめてエリくんの葬儀費用に充ててほしいと、一家がよく通っていたレストランの店主により、クラウドファンディングの『GoFundMe』にページが開設された。目標額は日本円にして約113万円だったが、匿名で60万円以上を寄付してくれた人もあり、すでにその2倍近くが集まっている。

ピンク色や、赤いネイルが好きだったエリくん。残された5人の兄弟をはじめ、誰もが葬儀にはあえて黒ではなく明るい色の服で臨み、最後のお見送りをしたそうだ。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

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