メダル獲得確実でも辞退者続出のテニス 無観客が五輪の価値低下に拍車かけたか

注目されるジョコビッチ選手の意思。金メダルは確実といわれながら、出場するか否かを迷っているという。

2021/07/13 19:30

オリンピック・東京五輪

各競技とも、世界最高のプレーを間近に観ることができる、滅多にないチャンスだった東京五輪。しかしセッションのほとんどが無観客と決まると、海外からは「テレビ観戦も含めて五輪への関心そのものが低下した」という声もあがるようになった。それは選手も同じなのだろうか。

テニス界では名選手が続々と出場を辞退し、五輪の魅力や価値自体が下がっているのではないかと話題になっている。


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■五輪史上に残るつまらなさ?

大混雑で時間を取られる日本入国、緊急事態宣言下の東京滞在など、このコロナ禍では観客の有無にかかわらず、来日する選手団や関係者には厳しい監視、行動や移動の制限が付いてまわる。

帯同するであろう家族にも緊張感が強く、パーティも内輪でこっそりと開催するしかないようでは、若くて健康な選手たちにとっては、さぞかしつまらないことだろう。いくつかの国では嗜好品としての大麻使用が合法となっているが、日本が規制している限りドラッグ類の持ち込みもご法度だ。

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■無観客で意欲低下の選手も

そんな中、テニス界の辞退者が目立ってきた。すでに6名の優秀な選手が五輪の出場を辞退することが決まっている。

スポーツメディアの『Insider Sport』は、男子ではラファエル・ナダル(スペイン・自己最高世界ランキング=シングルス1位)、スタン・ワウリンカ(スイス・同3位)、ドミニク・ティエム(オーストリア・同3位)、ニック・キリオス(オーストラリア・同13位)、女子ではシモナ・ハレプ(ルーマニア・同1位)、セリーナ・ウィリアムズ(アメリカ・同1位)などが、自ら不参加を決断したと報じた。

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■理由は選手それぞれ

5月30日からの全仏オープン、6月21日からのウィンブルドンに続く東京への移動は、スケジュール的にもハード。何を優先して何を切るか、どの選手も真剣に考えていたはずだ。

セリーナ・ウィリアムズ選手は理由を明らかにしていないが、ウィンブルドン大会でアリャクサンドラ・サスノビッチ選手(ベラルーシ)と対戦した先月29日に負傷しており、幼い子を育てているため東京五輪どころではない印象がある。

一方、ニック・キリオス選手はSNSで最近、「こんな機会は二度とないことはわかっている。でも無観客のスタジアムでプレーするなんて」とつづっている。

会場の大きな声援、拍手や喝采に応えるべく、汗だくになりながらボールを追いかける選手ゆえ、その気持ちをファンは十分理解していることだろう。


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■五輪至上主義はもう古い?

長きにわたりスポーツ界随一で、最高の栄誉に満ちたイベントとされてきた五輪。何が何でも出場したい、五輪のメダルの価値は格別だと言うスポーツ選手は多い。

だが今回わかったのは、東京五輪よりウィンブルドン大会を優先させた選手が多いことだ。

金メダル確実といわれるジョコビッチまでもが、出場か否かを迷っているあり様に、新型コロナウイルスの影響はもちろんあるが、五輪出場の価値自体が薄れてきたのではないかと見る向きもあるようだ。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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