東京五輪の無観客案に錦織選手が「残念」 ジョコビッチ選手は「だったら不参加かも」

観客席が日本人ばかりとなると、外国人選手にとっては、さらにアウェイ感が増す。公平さはどこに…?

2021/06/13 13:05

オリンピック・東京五輪

オーストラリア・シドニーで、IOC国際オリンピック委員会のジョン・コーツ副会長が、「自分も選手も観客を見たがっている」と発言して物議を醸している。「日本政府が決めることだが…」としながらも、猛烈なプレッシャーをかけていることは明白だ。

そんな中、男子テニスの錦織圭選手やジョコビッチ選手の発言が注目を集めているようだ。


関連記事:「五輪に選手村など要らない」 今後は発想の転換も必要と海外の専門家

■「残念で楽しくない」

全仏オープンでフランス・パリに滞在中の日本の錦織圭選手が、今月4日の記者会見で、東京五輪の開催について言及したことを『FRANCE24』が報じている。

大会開催で緊急事態が発生すると想定された場合、観客なしでもやむを得ないとしたうえで、錦織選手は「せっかく母国でやるのに、無観客で自分とチームのメンバーだけになるなら、それはちょっと残念すぎるし、面白みに欠ける」と発言した。

発言では“shame”という言葉が用いられたが、この場合は「恥ずかしい」ではなく「不運さが残念」という意味だろう。

関連記事:『箱根駅伝』連日の密な観客に呆れの声 緊急事態宣言の効力問う声も

■ジョコビッチ選手は…

東京五輪では母国のファンと一緒に試合を盛り上げたい、そんな熱い思いが伝わってくる錦織選手の発言。

一方で、大会5連覇を狙うラファエル・ナダル選手を準決勝で下したノバク・ジョコビッチ選手は、「観客の入場が禁止されるようなら、東京五輪には参加しないかも」と発言していた。

帯同する家族・パートナー・友人などは、おそらくチームメンバーとして入場できるのだろうが、一般の観客による声援や拍手は何にも代えがたいパワーだという。

関連記事:海外からの観客除外で調整中の東京五輪 各国で「賢明」の声が圧倒的

■どこか片手落ちな日本

開催が100%決定なら、せめて無観客とし、人の大きな流れを食い止めなければと日本の国民の多くが望み、外国人選手団や関係者は来日しても移動制限があり、パーティは厳禁だ。

さらに、日本では高齢者や医療従事者はともかく、新型コロナウイルスを撒き散らしていると言われる若い世代のワクチン接種がなかなか進まない。このような状況で来日組の行動はGPSで管理されると知り、彼らはどう感じているのか、言いたいことは恐らくたくさんあるのだろう。


関連記事:中居正広、東京五輪開催にかける熱意を語る 「何がなんでも見たい」

■強いアウェイ感

無観客では入場料を返金しなくてはならず、スポンサー企業は宣伝はおろか、優待観戦チケットで取引先のゴマをするという、大きなメリットを失ってしまう。

そんな理由もあり、観客ありの方向で突き進むことが強く予想されるが、それが日本人ばかりとなると、外国人選手のアウェイ感はさらに増す。

注目の柔道、卓球、レスリング、テニス、バドミントンなどは対戦型の競技種目ゆえ、白熱する応援のせいで予想以上のワンサイドゲームになる可能性もある。

それで日本が大量のメダルを獲ったところで、公平かと問われれば答えは「ノー」だろう。観客上限の決定について、結論は6月末に示されるという。

・合わせて読みたい→「五輪に選手村など要らない」 今後は発想の転換も必要と海外の専門家

(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

【Amazonセール情報】ココからチェック!