公開されたコーツIOC副会長の手紙 忍耐強さを称えれば日本人はチョロイ?

また出たIOCの根性論・精神論。だが、新型コロナは忍耐強さや粘り強さで打ち勝てる病ではない。

2021/05/23 10:30

オリンピック・五輪

来る東京五輪開催準備の指揮をとる、国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のトップ、コーツ副会長が「日本がたとえ緊急事態宣言下であっても五輪を開催する」と主張し、内外から批判が殺到している。

コーツ氏は今月19日、インターネットを通じて関係各位に手紙を宛てているが、その内容もツッコミどころが満載だ。


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■最終会議の終了を報告

『東京2020オリンピック競技大会』公式ウェブサイト英語版を通して、今月19日に公開されたコーツ氏による手紙。IOC調整委員会で開会式に関する最終会議が終了し、その報告を兼ねた大変長い文章になっている。

Dear(親愛なる)の言葉に続いたのは、IOCの各メンバー、各国の国内オリンピック委員会、国際スポーツ連盟、全アスリート、放送権を得た放送機関、そしてトップパートナーたちだ。

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■誰のために開催するのか

その長い手紙のなかでも、何が何でも五輪を開催することにこだわったコーツ氏。「ここまで頑張ってきた2つのグループの存在を忘れてはならない」といい、彼らの努力を尊重し、称え、水の泡にしてはならないとしている。

IOCはお金のことしか考えていないと世界から批判が集まっているが、コーツ氏によれば、彼らの原動力となっているのはお金ではなく、「日本人」と「アスリートたち」だそうだ。

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■また根性論・精神論

アスリートにとって五輪でメダルを獲得することは、選手人生における格別な栄誉だ。4年に1度の開催で年齢的にはこれが最後かも、という選手の気持ちは察するに余りある。だが、もう1つの「日本人」についてはこう書かれていた。

「歴史的にみても日本人は忍耐強く、どんなに困難な状況でも屈しない粘り強さがある。日本人の、逆境に打ち勝つ高い能力のおかげで、この度のオリンピックは開催が可能になるのだ」

コーツ氏もトーマス・バッハ会長も、日本人は根性論が大好きで精神論で持っていくのが1番有効だ、とでも思っているのだろうか。


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■「希望と連帯感あふれる舞台」

新型コロナウイルスは、忍耐強さや粘り強さで打ち勝てる病ではないことは、科学が立証している。人がイベントに集うことでクラスターが発生するなか、コーツ氏の手前勝手でピントのずれた解釈には呆れるばかりだ。

なお、手紙のその部分には「東京五輪は、日本が世界に向けて希望と連帯感に満ちたメッセージを送る、そんな舞台となるだろう」とも書かれていた。多くの日本人が五輪中止や再延期を求めるメッセージを世界に発信しているが、そちらにはまるで関心がないのだろうか。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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