モデルナワクチン接種4日後に30代米女性が死亡 アナフィラキシーの1割は重篤化

欧州では複数の国がアストラゼネカ製ワクチンの接種見合わせを決めており、「様子見」の気配がますます強まってきた。

2021/03/14 07:30

モデルナワクチン・新型コロナウイルス
(carmengabriela/iStock Editorial/Getty Images Plus/写真はイメージです)

米国ユタ州で2月上旬、それまで健康だった30代の医療従事者の女性が、モデルナ社による新型コロナウイルス・ワクチンの2度目の摂取を終えた4日後に突然体調不良を訴え、搬送先の病院で多臓器不全を起こし、死亡していたことがわかった。

地元メディアの『KUTV』が伝え、他国のメディアが続いている。


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■1度目は腕の痛みだけだった

新型コロナウイルス・ワクチンの接種後に死亡したのは、ユタ州オグデン市のカシディ・クリル(Kassidi Kurill)さん(39)。市内の外科病院に勤務する医療従事者として優先接種を受けた。

1度目の接種の後は腕に強い痛みを感じる程度だったが、2月1日の2度目のワクチン接種後にアナフィラキシーショックを発症。9歳の娘を育てる一方、職場では働き者として知られたクリルさんに、基礎疾患などは確認されていなかったという。

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■尿が出なくなり心臓が…

クリルさんが体調を崩したのはワクチン接種の4日後。水分をいくら摂っても尿が出ないことに異変を感じていたなか、突然心拍数が上がり、同居の父親に「体内でまずいことが起きている。緊急救命室(ER)に行く必要があるかも」と告げ、救急車を手配してもらった。

入院時の血液検査で重篤な肝不全が確認されたクリルさんは、嘔吐が続くなかヘリ空輸によりソルトレイク郡マレーの「インターマウンテン・メディカルセンター」へ。しかし次第に意識が薄れ、30時間後には多臓器不全で死亡した。

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■アナフィラキシーショックの1割は重篤化

アナフィラキシーショックでは、腹痛や嘔吐など消化器症状を発症する例があるほか、急激な血圧低下で循環器障害や意識を失う「ショック」を発症する例など、極めて危険な状態に陥る例が1割ほどある。

クリルさんの遺体の剖検にあたったユタ州検死局の主任検死官エリック・クリステンセン博士は、『KUTV』の取材に、あくまでも一般論として「本人や家族も気づかず未診断だった臓器や器官の炎症やガンが剖検で発覚することもあり、ワクチン接種がもたらした死だと剖検で証明できる例は、殆どありません」と答えている。

クリルさんの剖検報告書には重篤なアナフィラキシーショックについてはもちろん記されるが、ワクチンとの関連性についての判断は米・疾病予防管理センター(CDC)次第だという。


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■接種のメリットを強調するCDC

昨年12月14日から3月8日までの間に、9,200万回ほどの新型コロナ・ワクチン接種が実施された米国。

CDCのワクチン有害事象報告制度(VAERS)には、遺族や主治医などから任意で1,637件の死亡例が報告されたが、確率は0.0018%と日本に比べてはるかに低く、CDCはワクチンの安全性や接種のメリットを重ねて強調している。

ただし、欧州では複数の国がアストラゼネカ製ワクチンの接種見合わせを決めたところであり、日本においても「本当に大丈夫なのか、もっと様子を見たい」との声がますます聞かれるようになっている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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