著名写真家が致死率高い「超多剤耐性菌」感染で死去 32kgも痩せ肺炎が重症化

抗生物質を過剰投与された家畜の肉を食べ、軽い風邪でも抗生物質を飲んでしまう。そんな日常生活の先にあるのは、薬剤耐性菌との勝ち目のない闘いかもしれない。

2021/02/14 12:25

入院中の男性
(gorodenkoff/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

高い致死率で恐れられている、「スーパーバグ (超多剤耐性菌)」による感染症。数種類ある抗生物質が全く効かないため、たとえ健康で若くても、どんなに優れた医療機関でも、これに感染したら克服は難しい。

大変健康だったオーストラリア人男性の無念の死について、『The Sun』『Fox Sports』などが報じた。


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■著名サーフカメラマンの死

西オーストラリア州フリーマントル出身で、著名なサーフカメラマンであるブラッド・マスターズさん(41)。世界中の有名サーフスポットで大きな波とサーファーを撮影してきた彼が、バリ島の病院で7日に死亡した。

昨年12月下旬、各種の抗菌薬に極めて強い耐性を獲得している超多剤耐性菌、いわゆる「スーパーバグ」に感染したことが原因だった。

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■シコリが人の頭の大きさに

パートナーのトリッシュ・キンケイドさんによれば、ブラッドさんを死に至らしめたスーパーバグは、首にできたちょっとした傷口から侵入していた。

昨年のクリスマスに赤いシコリに気づいた彼は、デンパサール南部のチャングーにあるシロアム病院へ。ところが薬が効かず、シコリは人の頭の大きさにまで腫れあがり、2度の切除手術が行われた。

その後にブラッドさんは肺炎を発症し、複数の抗菌薬を試しても改善されず、むしろ重症化していったという。

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■1ヶ月半で32kgも痩せる

パーソナルトレーナーとしても活動し、体を常に鍛えていたブラッドさんは、入院時の体重は90kgあったが、わずか1ヶ月半で58kgにまで落ちてしまった。

衰弱した体で必死に病と戦い、敗れたブラッドさんの闘病生活は、医療スタッフに目に見えない薬剤耐性菌の恐ろしさを改めて教えたという。

各種の治療や人工呼吸器を伴う入院などで医療費は軽く1,000万円を超えたため、友人らがクラウドファンディングにページを開設。人々に募金への協力が呼び掛けられている。


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■安易で過剰な処方に原因

手術やカテーテルを介しての感染、院内感染、そして日常の些細な傷からも侵入することがある薬剤耐性菌。日本で近年検出されるワースト3は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、フルオロキノロン耐性大腸菌、第三世代セファロスポリン耐性大腸菌だという。

家畜を育てる際の抗生物質の大量投与や、医療機関での安易な処方をとにかく改め、世界の医療機関が耐性獲得菌についての情報をスピーディに共有することが重要。それを守らなければ、2050年には世界の死者が1千万人以上にのぼるとも予想されている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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