人間の遺体を1ヶ月で堆肥化するビジネスついにスタート 地球環境にも好影響

近年、自分が死んだらひっそりと自然に戻してほしいとして、樹木葬や散骨に興味を持つ人が増えているが…。

2021/02/06 08:30

堆肥
(Natallia Saksonova/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

自分が死亡したら、遺体をどうしてほしいか。お墓の下に眠るより樹木葬や散骨に興味がある、という人が増えているなか、アメリカではコンポストで堆肥にしてもらうという選択肢が注目を浴びている。そのビジネスがついにスタートしたことを、シアトルの『Seattle Times』ほかが報じた。


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■10年前にある大学生が発案

有機物を微生物によって分解させ、堆肥にする「コンポスト」。その処理方法を用いて人間の遺体を専用のコンポストで堆肥化させ、30日後に遺族に土となって戻されるという驚きのビジネスが、米国・ワシントン州ケント市の「リコンポーズ(Recompose)」社でスタートしていたことがわかった。

この会社を設立したカトリーナ・スペードさんは、マサチューセッツ大学で建築を学んでいた10年ほど前から、「自分が死んだら堆肥に」という考えを明らかにして話題になっていたという。

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■州議会で法案が成立

先進国の中で、人間の遺体の堆肥化が許されていたのは、「環境先進国」のスウェーデンのみ。米国でそれを始めるには、もちろん法案の成立を必要とした。

だが、死体の防腐処理や棺、火葬、墓石を必要としないその方法は、自然かつ安全で、二酸化炭素排出量の削減にもつながる。

都市部の慢性的な墓地不足の問題も解消できるうえ、地球環境にとっても遺族にとってもやさしいことから、2019年5月、米国では初めてワシントン州議会で可決されていた。

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■費用は一遺体あたり58万円

木材チップ、藁や土が入った六角形のコンポストに遺体を入れると、体の大きさにもよるが、30日ほどで自然に分解され、数十リットル分の土になる。コンポスト自体は何度でも再利用が可能だ。

気になる費用は一遺体あたり58万円。プロセスが完了した際には、堆肥中の大腸菌やサルモネラ菌、そしてヒ素、鉛、水銀といった残留重金属の含有量についても解析され、オプションで葬儀も追加できるという。


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■BGMは故人が愛した音楽

リコンポーズ社にとって初めての利用者は、昨年12月20日に預けられたウェスト・バージニア州の女性の遺体だった。

その女性の娘は「有機還元のプロセスにおいては、母が好きだった音楽をBGMに流してくれました。遺体を強い火で燃やして骨や灰にするよりも、緩やかで美しい方法だったと思います」と話している。

遺族がその堆肥をどう利用するかは自由だ。庭の土に混ぜて故人が愛した草花や樹木を植えても良いし、家庭菜園や農地で役立てれば、感謝の気持ちも一層増すことだろう。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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