「彼はヒーロー」と7万人が署名するも… 小児性愛者を死なせた男に15年の禁錮刑か

繰り返し小児性犯罪を重ねた男を攻撃し、少年2名を救った男。彼が助けなければ、大変なことが起きていたはずだが…。

2020/11/15 09:20

署名運動
(qingwa/istock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

あるアパートの一室に、もしも男が勇気を出して踏み込まなければ、少年たちは小児性犯罪事件の被害者になっていただろう。しかし男の攻撃を受けるなか、転倒した小児性愛者は頭を打って死亡。警察は男を正義のヒーローとはみなさなかった。


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■「助けて」と泣く子供の声

ロシア・バシコルトスタン共和国のウファ市で今年2月上旬、ウラジミール・サンキンという自動車整備士の男(当時33歳)が、1人の男を殴って死なせたとして傷害致死容疑で逮捕された。

「誰か助けて」と言って泣く子供の声がアパートの一室から聞こえることに、サンキン容疑者は小児性犯罪を疑って警察に通報。木の棒を手に、自らもその部屋に押し行った。

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■斧で脅し「服を脱げ」

部屋の中には地元の中学に通う少年2名がおり、ウラジミール・ザイツェフという当時54歳の男が、斧で脅しながら一方の少年に「裸になれ」と命じていた。

サンキン容疑者の介入により解放された少年たちは、警察の聞き取りに「雪遊びで濡れて体が冷え、アパートの中に入って休んでいたところ、ザイツェフから部屋に来て服を乾かせばいいと、声をかけられた」と説明したという。

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■「彼は正義感の強い男」

警察官が到着するまでの間、木の棒で叩かれていたザイツェフは転んだ時に頭を強打し、それが致命傷となって搬送先の病院で死亡した。

ザイツェフは、自身の息子を含む複数の子供たちに繰り返し性的虐待を働き、三度の刑務所生活を経験。懲役5年、1年、11年の服役を経ても反省せず、犯行を繰り返したことになる。

サンキンについては、「正義感が極めて強い男。おまけに相手は凶器を手にしていたのです」と擁護する妻のポリーナ・ナウモワさんと母親のガリーナさん。ショタ・ゴルガゼ弁護士も、裁判では何としても無罪を勝ち取りたいとしている。


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■7万人が被告の無罪を主張

行き過ぎた暴力があったと考えた警察がサンキン容疑者を刑事告訴した際、世間はそれに猛反発し、無罪を主張する署名活動を開始した。現時点で7万人もの署名が集まっているが、裁判を前に数字がさらに増える可能性もありそうだ。

「サンキンさんは正義のヒーロー」と訴える市民たち。しかし多くのメディアが、裁判では被告に懲役15年の実刑判決が下る可能性が高いと報じている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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