親の不仲や離婚で子供の「幸せホルモン」分泌が減少か 米研究チームが発表

「親の後ろ姿」が大事とはよく言われるが、それが我が子の長い人生において幸せの感受性まで左右するとは…。

2020/09/14 11:20

夫婦喧嘩・子供
(Iam Anupong/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

子供は成長し、思春期を経て本格的な恋愛や結婚を意識する年齢になる。そのとき相手と良好な関係を築き、幸せを続かせることに不安や困難を感じてしまう若者が、じつは少なくないという。だが、そこには科学的根拠があるようだ。


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■両親の仲が大きく影響

米国・テキサス州にあるベイラー大学の教授で、心理学が専門のマリア・ボッチャ博士。その研究チームがこのほど比較心理学の専門誌『ジャーナル・オブ・コンパラティブ・サイコロジー(Journal of Comparative Psychology)』に、幸福感に関する興味深い論文を発表した。

幼少期に両親のいがみ合いや離婚を見て育った若者において、脳の下垂体後葉から分泌され、幸せホルモンあるいは愛情ホルモンとも呼ばれる、「オキシトシン」というホルモンの量がきわめて低いことを突き止めたという。

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■オキシトシンの濃度が低いと…

128人の若者の協力を得て、尿からオキシトシン濃度を計測したボッチャ博士。さらにアンケート調査では、幼少期に親から受けていた温かい保護や愛情、あるいはネグレクトや虐待の記憶、そして現在の家族や友人との人間関係などを質問した。

そこでわかったのは、幼少期に両親の離婚を経験した若者は、そうでない若者に比べてオキシトシンの濃度がきわめて低く、何をするにも自信や肯定感に欠け、自身を粗末に考えがちで、誰かと親密になることにぎこちなさを感じてしまう傾向にあるという事実だった。

博士は「これでは他人と健全で良好な関係を築くことなど困難だろう」と感想を述べている。

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■人生の幸・不幸をも左右か

赤ちゃんの誕生や授乳、愛情あふれるスキンシップやハグなど幸せを感じたとき、自然と体内に満ちてくるオキシトシン。さらに、それが基になって相手に対する愛情や信頼感、温かい感動や共感、そして感謝の心が生まれてくることも近年の研究でわかってきた。

博士が見逃せないと考えているのは、幼少期に感じていた幸・不幸が、その人の将来的なオキシトシンの分泌量を左右してしまうという事実。オキシトシンが欠如して幸せを感じにくい体質になり、他人にも愛着を持てず人間関係がぎくしゃくする。これでは、幸せな人生を望むことが難しくなるからだ。


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■精神的トラブルの原因にも

オキシトシンの本格的な研究は始まって間もないが、自己肯定感、承認要求、発達障害、うつ、アルコール・薬物依存症、社会不安障害などと絡めた研究が非常に多くなっていることも特徴だ。

人間関係より前の、人格形成においても大切なホルモンだというオキシトシン。我が子がそれを十分に分泌できる人になってくれるよう、幼い頃から親が努力すべきことは多そうだ。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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