祖父母の「女の孫など要らない」で大喧嘩に 悩んだ夫が自殺し妻がショック死

命は女性から生まれるというのに、「女の子の誕生を素直に喜べない」という人々がいるとは…。

2020/07/26 19:30

赤ちゃん・新生児
(greenleaf123/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

男の子を産め、女の子は要らないなどという理不尽な主張。インドやパキスタンには、娘が嫁ぐ日のために高額の持参金を準備しておかなければならないという風習が根強く残っており、時に女児の誕生が忌み嫌われてしまうことがある。

また、その考え方は一家に思わぬ悲劇をもたらすこともあるようだ。


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■怒りを爆発させる義理の両親

インド・ニューデリーのガウタム・ナガーという地区で先週、プラン・ゴビンダ・ダスさんと妻スプリヤ・ダスさん(23)の間に元気な赤ちゃんが誕生した。

ところが性別が女の子であると知って、プランさんの両親が激怒。なぜ男児が生まれなかったのかと息子に対して不満を爆発させ、近隣住民にも「女の子は不幸の種。腹立たしく忌々しい」と延々と愚痴をこぼしたという。

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■夫が自殺し妻が心筋梗塞

かわいい女の子の誕生をスプリヤさんも喜んでいただけに、彼女の両親は婚家側の理不尽な批判や陰口に腹を立て、両家の関係は一気に険悪なものとなった。

妻も義理の両親の態度をひどく怒っており、間に挟まれ深く思い悩んだプランさんは19日に焼身自殺。夫の死を知ったスプリヤさんもショックのあまり倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまった。心筋梗塞を起こしたものと考えられている。

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■娘の誕生は経済的損失を意味

インドやパキスタンに古き時代から伝わる「ダウリー」という持参金制度。夫とその家族はそのお金でまずは宝飾品、車、家電製品など好き放題の買い物を楽しむといい、その後の嫁に対する態度や扱いも金額次第だ。

こうしたことから、女の子が生まれた家では「いつか嫁ぐ日のため」と苦労して大金を準備しておかなければならない。インドでダウリーは1961年に法律で禁止となったが、保守的な高齢者が仕切る地方の村や町では、今なお娘たちは持参金とともに嫁ぐという。


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■新生児の殺害や児童婚の問題

こうしたことから、インドでは貧困家庭で生まれた女の赤ちゃんが殺される事件や、逆に金銭を受け取れるとして、幼少の娘を高齢の男性に嫁がせる児童婚が後を絶たない。

また胎児の性別を知って中絶を望む夫婦もおり、ここ数年インドでは女の赤ちゃんの人口が男の赤ちゃんの人口の9割にとどまっている。

また、女の子の親が「適齢期を過ぎたら恥ずかしい」「死別や離婚で追い出されないよう」などと考えがちであることも、ダウリーがなくならない一因だ。そのため、インドの少女たちが高等教育を受け、経済的に自立することの重要性を訴える人権専門家は多い。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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