新型コロナ重症化の男性患者8割に「薄毛」傾向か 米大学教授が発表

論文を発表した大学教授は、新型コロナウイルスが重症化した患者に「まだ若いのに薄毛」という男性が多いことに気付いたという。

2020/06/09 11:30

薄毛
(itakayuki/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

同じ年齢の仲間と比較し、頭髪が薄いことに悩みを抱えている男性たちがいる。いわゆる「若ハゲ」の傾向は、新型コロナウイルス感染症の重症化にも関係してくるのだろうか。ちょっと心配なデータが発表された。


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■重症化した男性患者の約8割

米国・ロードアイランド州在住の皮膚科の権威であり、ブラウン大学の医学部で教鞭を取るカルロス・ワンビア(Carlos Wambier)博士。

彼がこのほど新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の男性患者に関し、興味深い論文を『アメリカ皮膚科学会雑誌 (Journal of the American Academy of Dermatology)』に発表して話題になっている。

博士はスペイン・マドリードの2ヶ所の病院で新型コロナウイルスの治療を受けている患者に関し、同年齢に比較すると明らかに髪が薄い男性患者が多いことに注目。

詳しく調査したところ、ある病院では41人の男性患者の71%が、別の病院でも122人の男性患者の79%が薄毛に悩んでいる(いた)ことが判明したという。

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■若年期からの男性型脱毛症

英紙『デイリー・テレグラフ』の取材に応じたワンビア博士は、高齢で始まる老人性脱毛症ではなく、「若ハゲ」とも呼ばれる男性型脱毛症がみられる男性が新型コロナウイルスに感染した場合、重症化しやすい傾向にあると指摘する。

思春期以後、男性の体内ではアンドロゲンとも呼ばれる男性ホルモンがどんどん分泌されるようになるが、量には個人差が。大量の分泌が続けば体毛の量が増える一方、頭髪の脱毛や薄毛を促すという現象が起きてくる。

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■男性ホルモン優位の恐怖

統計的に見ても、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の重症化は男性に多く、死亡率も圧倒的に男性が高い。しかし女性でも、女性ホルモンの欠乏が顕著で男性ホルモンが優位となってくる60代以降で、死亡率はぐんと上がる。

かつて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)におけるマウス実験でも、卵巣を取り除いたメスのマウスでは死亡率が一気に上昇。最近では、新型コロナウイルスの攻撃力を男性ホルモンが強めてしまうという説もあるようだ。

そのため男性・女性ホルモンの量やバランスと新型コロナウイルスの重症化に密接な関連性があるみる研究がかなり進められており、前立腺癌の治療で行われている男性ホルモン抑制療法にも注目が集まっているという。


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■今後さらに多くの調査を

「まだ科学的根拠が不足している。ワンビア博士の主張を裏付けるためには、さらに多くの患者について調査をするべきだ」と述べる医療専門家も多いようだが、いわゆる「男性ホルモン悪玉説」を否定できるような論文が現れていないのも事実だ。

若年期から薄毛傾向に悩んできた男性、そして閉経後などに薄毛が気になりだした女性に対し、「新型コロナウイルスに決して感染しないよう細心の注意を」とワンビア博士は強く呼びかけている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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