公務員の仕事ぶりをチェック 意外な姿で街へ繰り出す「覆面捜査官」市長

優れた人材確保につながる素晴らしい手段。是非これを日本でも…

2019/07/15 07:40

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(cyano66/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

地方公務員の世界は、そこに暮らす人々に直接喜ばれるような仕事をしたいと考える、奉仕の気持ちが強い職員の集まりであってほしいもの。そう願うのは、じつは住民だけではないのかもしれない。


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■増え続ける苦情に市長は苦悩

メキシコのチワワ州のクアウテモック市。そこのカルロス・テナ市長が、数十日にわたり予想外の行動を続けていたとして、市役所内に波紋を広げている。

テナ市長は温かいハートの持ち主で、障害や難病、認知症などを抱えて困っている市民や生活保護受給者などから、ソーシャルサービス全般について、「職員が冷たい」「無責任だ」といった苦情が舞い込むたびに胸を痛めていた。

しかし、職員らに問いただしても「きちんと仕事をこなしている」と主張するばかりで、市民の意見とは完全に食い違っていたという。

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■市長自ら実態確認

市長は事実を把握したいとして、オフィスから外に出ることにした。極秘で車椅子を入手し、やや不潔な身障者を装うと街に繰り出したテナ市長。覆面捜査官さながらの気持ちで、ソーシャルサービスに従事する職員たちの仕事ぶりを監視することにした。

市では貧困層に無償の食事が提供される施設を設けているが、テナ市長がその利用券をほしいと言ったところ、あっけなく追い払われたという。

こうして各種の福祉施設や相談窓口などに、たびたび現れるようになって2ヶ月。テナ市長は市民が訴える苦情の内容が事実であることを痛感した。個々の職員についても、誰が親切でよく働き、誰が怠惰で無責任なのかを把握したという。 

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■偽装を解いた市長に職員ら仰天

敢えて市役所の職員たちの前で「偽装」を解いたテナ市長。車椅子から降りると灰色の帽子を脱いでボサボサの頭を直し、サングラスや包帯を外して職員たちを仰天させた。さらに彼は記者会見の場をもうけ、こうコメントしている。

「車椅子がうまく動かせずに困っている時などに、さっと手を貸して助けてくれる、こういう人にこそ公務員になってほしいのです」


「ソーシャルサービス全般、まさに『公僕』の世界ですから、心のやさしい職員で成り立っているべきなのです」


「えらそうな態度で生活弱者を冷たくあしらうような人間は、公務員には向きません」


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■素晴らしい行動力に市民は感動

雇用や人事に関し、抜本的な改革を検討中だというテナ市長。彼のこの行動力に感動したのは市民ばかりではない。世界のメディアも賛同の意を込め、次々とこの話題を紹介している。

「うちも試してみよう」とトップが決断すれば、同じやり方の人事査定やリクルートに乗り出す役所が、ほかにも現れるのかもしれない。

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(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)浅野 ナオミ

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